表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
922/984

94.異世界勇者・参とおっさん―6

「『幸福の薬園ウェルフェア・トゥ・ヘヴン』ッ!!」


 注射器を取り出したミクは、テントの片隅にいた手のひらサイズの蜘蛛を左手で鷲掴みにすると、その胴体に液体を注入する。


「へぇ? するとどうなるって言うんだい?」


「これが私の力の使い方……禁忌のドーピングッ!!」


 ミクは掴んでいた蜘蛛を宙に投げる。

 泡を吹き、痙攣していた蜘蛛だが、すぐに挙動がおかしくなり、徐々に巨大化を始めていた。


 黒い体毛が派手なピンクのカラーになり、複眼がカラフルなネオンライトのように点滅し始める。


「可愛いでしょ? 死ねッ!!」


 それはミクの趣向を反映したクリーチャーだった。

 巨大化した蜘蛛はミクに命じられるまま、両足を振り上げてユズに襲い掛かる。


「ふーん、そんな力の使い方もあったんだ。ますます欲しくなったよ、君のチートスキル」


 が、ユズが右手を八の字に振った瞬間、蜘蛛の巨体は一瞬でバラバラになった。


「チートスペル“風の絶刃(エア・セイヴァー)”。でも残念なことに、君は異世界勇者だから……ボクが殺すわけにはいかないんだ」


 起き上がったシノカミが、既にミクの眼前にまで迫ってきていた。


 他の生物にドーピングしている暇はない。

 迫り来る右手に、ミクは絶望的な表情で硬直したが――


「逃げろ、ミクッ!!」


 片腕を失ったケンロウが、ミクの前に飛び出していた。

 シノカミの右手が、ケンロウの胸板に触れる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ