表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
910/984

93.愛娘とおっさん―5

 黄昏時、オレンジに染まった世界で、両者は無言のまま睨み合った。

 二人の視線が交錯する度に、お互いの“魔神の心臓(デモンズ・コア)”がチカチカと光を放つ。


 それはまるで、“殺し合う”という行為に対しての、意思疎通をしているようだ。


「愛娘の体ごと、ボクを殺すのか?」


「このまま貴様にノニムの体を悪用されるくらいなら、その方がマシだ。だが、何としてもノニムは取り返してみせる」


「無駄だよ。そんな方法、この世界には存在しない。世界の真理を知っているボクが言ってるんだ。間違いない」


「存在しないのなら、作り出してみせるさ。そのためにも、お前はこの場で倒し、拘束させてもらう」


「あはッ、それは面白そうな研究のテーマだね。協力してあげたいところだけど、あいにくボクの目的は君を助けることでも、嫌がらせをすることでもないし、この体を使ってやるべきことがあるんだ」


 そう言うと、ユズは焼け野原のようなジルヴァニア城を歩いた。

 歩を止めたのは、黒く焼け焦げた人間の前だ。


「チートスペル“完全回復フルリペア”」


 ユズのチートスペルにより、姿形や年齢すら分からなくなっていた人間の姿が復元される。

 それは、先程まで玉座の間に倒れていた、マリモだった。


「あーあ、こんな酷いことをしてさ。結局のところ、君は自分さえ良ければ他人を傷つける……そういうヤツなんだろ?」


 同じ手順で、ユズはカエデも回復させる。

 その二人の姿を見て、グルゥは少なからず動揺をしていた。


(確かに、ユズの言う通りだ。『憤怒』に任せて、私はまた他人を巻き込んでしまった)


「今回は特別だ。ゲームマスターが彼らを殺すわけにはいかないからね」


 もしもユズが、二人を復活させることなく戦いに興じていたら――そのことを考えると、グルゥは膝が震えるほどの恐怖を感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ