表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
906/984

93.愛娘とおっさん―1

 白いワンピースを着せられたノニムは、まるで人形のように無表情に佇んでいる。


 かつてのミノンのように、何かしら精神に影響をもたらす薬を投与されているのだろう。

 そう思うと、煮えたぎるような『憤怒』がグルゥを包んだ。


「おっと、勝手な真似はしないでくれよ? ボクの手が滑って、この子を傷つけてしまうかもしれない」


「人質にして……それで優位に立ったつもりか? もし、その子に指一本でも触れてみろ。お前なぞ、この場で消し炭にしてくれる」


 グルゥの言葉にハッタリは一切に無い。

 今、自分が持ち合わせている『憤怒』を解放すれば、ユズはおろか、ジルヴァニア城全てを一瞬で破壊できると――そんな確信が、胸の内にあった。


 だが、


「触れる気なんてさらさら無いよ。だけど……そうだねぇ、お父さんには、まずこれから見てもらおうかな」


 ユズの手が、ノニムのワンピースの襟にかかった。

 そして、力任せに胸元まで破り捨てられる。


「…………ッああああああああああああああああ!?」


 それを目の当たりにした時、グルゥは思わず絶叫をしていた。


 露わになったノニムの白い肌。

 まだ膨らんでもいないその胸の中央にあったのは――自身も手に入れたばかりの“熱球”だったのだ。


「何故だ……ッ!? どうして、ノニムにそれが――」


「“魔神の心臓(デモンズ・コア)”。ボクの研究の集大成の一つだよ」


 ドクン、ドクンと脈打つように鼓動しているノニムの熱球に、ユズはそっと手をかざす。

 まずい、とユズが何かを仕掛けようとしていることを察知し、グルゥは大きく一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ