表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
896/984

91.魔獣とおっさん―10

 真っ青だったブランの顔色が、みるみるうちに良くなっていく。

 対照的に、若さを手に入れたはずのヴラディオの顔には、急速に皺が刻み込まれていた。


「私には、魔力が無かったのではありません。ただ、圧倒的なドレインの力が引力のようになり、それを発現することが出来なかった」


「貴様ッ!! 我を超えるドレインパワーなど――こんなことッ!!」


「“失敗作”……確かに、その言葉の否定はしません。あなたにとって、最悪の相性を持つ敵は……他ならないこの私だったのですから」


 左手の手刀で、ヴラディオは自らの右腕を切り落とした。

 このままではブランにドレインされ続けると、そう判断したのだろう。


 だが、ヴラディオは既に力の大半を失っており、その髪には白いものが目立つようになっていた。


「こんな……こんなゴミカスの集まりに、我がやられるなどッ……!!」


 影の翼を生やしたヴラディオは、高速で宙を飛び、城内に戻ろうとした。


「待つだっ!!」


 とっさにルッタが、その背中に凍て付く波動を放った。

 その甚大な魔力は、影であるはずのヴラディオの翼すらも凍らせる。


 粉々に砕ける翼。

 地面に墜落したヴラディオは、それでもなお、城内に駆けていった。


「チッ、往生際の悪いヤツだな! まだ城の中に何かあるってのか」


「城内に……? まさかっ」


 悪態をつくキットだが、それを聞いてグルゥの背中にゾッと悪寒がはしった。


 城内にはまだノニムや、攫われた魔人の子供たちがいるはずだ。

 それらをもし、再び力の源として利用されたら――


「追うぞ、みんなっ!!」


 逃げ去るヴラディオの背中を追い、グルゥ達は城内に突入していく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ