表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
884/984

90.禁忌とおっさん―7

「ぐっ…………やめ……ろっ……」


 痛みから逃れるように、身を丸くし、縮こまったグルゥ。

 その無様な姿を満足げに見下したヴラディオは、さらに溜飲を下げるように、グルゥの頭を鷲掴みにして持ち上げた。


「うぐ……!?」


 まるで玩具のように、いとも簡単にグルゥの巨体が持ち上がる。

 全身の骨が粉々になるまでに痛めつけられたグルゥは、指一本動かすことが出来ず、されるがままだった。


 ヴラディオは傷だらけになったグルゥの体を舐め回す様に見る。

 そして何より、その目を引いたのが、


「なるほど……これが“魔神の心臓(デモンズ・コア)”か。我もこの目で見るのは二回目だ」


 グルゥの胸に埋め込まれた、燃える熱球である。


(“魔神の心臓(デモンズ・コア)”?)


 その呼び名はグルゥも聞いたことがなかった。

 そして、ヴラディオにとっては既知の存在でもあるらしい。


「実に見事だ……美しいとさえ言える。本来であれば、サリーメイアも“魔神の心臓(デモンズ・コア)”を抱かせるまでに成長させたかったが……まあ、アレは『サキュパイア』として覚醒させたもの……不純な種には、手の届くものではあるまい」


「何を、言ってるんだ……お前、は……」


 喋ったグルゥの喉の奥から、ごぼっと熱い血の塊が溢れ出した。

 それはヴラディオの手首にかかると、じゅうと肉が焼ける音がした。


「クク……先程よりも、随分と熱くなっているようじゃないか。宿主の危機を察知して、急速に活動を強めたと見える」


「だか、ら……なに、を…………っ!」


「この心臓……是非とも、我が手中に収めたい」


 左手で手刀を作ったヴラディオは、その切っ先をグルゥの熱球へと向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ