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89.王女とおっさん―2

「何が……あった?」


 中央広場へと辿り着いた、グルゥとヴァングリフ。

 そこに広がる凍て付いた銀世界を目の当たりにして、言葉を失っていた。


「ようやく来たか。待ち草臥れたぞ」


 バルコニーからこちらを見下ろしているのは、ヴラディオとサリエラだった。

 薄い羽衣のような衣装を身に纏ったサリエラは無表情で、その目には意思の光が見られない。


「サリエラに何をした。お前……っ!」


「娘に何をしようが、我の勝手だろう? 貴様にとやかく言われる筋合いはない」


「そちらこそ勝手なことを言うなッ!! 子供は、親の所有物ではないッ!!」


「戯言を。彼奴は、我が造り出した言わば“作品”なのだ。我の干渉なくして、魔力の器としての完成はありえなかった」


 争論は平行線のまま、お互いの意見が交わることは決してなさそうだった。

 怒りのあまりに沸騰しそうな頭を押さえながら、グルゥは一歩進み出る。


 が、それを制したのはヴァングリフだった。


「よーく分かったぜ、グルゥおじさん。コイツが、生かしてちゃいけねぇ部類の人間だってことがな」


「部外者は黙っていろ。我が待っていたのは、その魔人のみだ」


「そーかい、そーかい。あいにくだが、俺もテメェと話すつもりなんざこれっぽっちも無くてな」


 右手を掲げたヴァングリフ。

 パチンと指を鳴らすと、中央広場を取り囲むように一斉に気配が現れた。


「さっさと、その首頂いていくぜ。子を不幸にする親なんて、見てるだけで虫唾がはしるんだよ」


 それは、予め周辺に配置させていたイルスウォードの兵士達だった。

 統率の取れた動きに、ほう、とヴラディオは感嘆の声を漏らす。

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