表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
867/984

88.炎と水とおっさん―9

 ――アマツの武士達を率いて、シュテンはジルヴァニア城の中を先行していた。


 本来ならば、多数の兵との市街戦が予想されたはずだった。

 だが、石造りの街は不自然なほどに静かで、人っ子一人姿が見えやしない。


「嫌な予感がするだ……っ」


 ゾッとするような静寂の中を、オーガ達は駆けて行く。


 目指すはただ一つ、ジルヴァニア城。

 そこに併設されている、式典の際などに使われる中央広場だった。


「これはっ……!?」


 だが、目的地に近付くにつれ、“異変”が起きていることにシュテンは気が付いていく。


 空気は肌寒くなり、荒く吐いた息が白く形となっている。

 石畳は霜に覆われ、気を抜けば足を滑られて転びそうな、そんな足場になっていた。


「まさか……いや、そんな……こんな、ことが…………っ!?」


 そして辿り着いた中央広場。

 そこは一面の銀世界であり、そして――


「う、嘘だぁ……!? こんな、こんなことが許されるわけ……っ!!」


 そこに集まっていた無数の市民達は、一人残らず氷漬けにされ、見事な氷像と化していた。

 呆然と立ち尽くしたシュテンの前に、蒼く透き通ったドレスを身に纏った少女が“ふわふわと降りてくる”。


「まずい、おめぇら、逃げろ――」


 シュテンが振り返って声を張るよりも早く。

 恍惚とした表情で少女が指を鳴らした瞬間、絶対零度の寒波が通りを走り抜け、オーガ達は一人残らず氷漬けにされていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ