表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/984

9.ビンタとおっさん―6

 右の頬に真っ赤なモミジをつけたグルゥは、憮然とした表情で逃げ出したサリエラの後を追った。

 すると、家を出たところで視界に広がったのは――


「なんと、見事な……!」


 太陽の光を跳ね返して輝く白い砂浜と、どこまでも透き通ったエメラルドグリーンの海。

 砂浜の左右には濃い緑の森が生い茂り、コントラストにグルゥは眩しそうに目を細めた。


 本当に天国に来たようだと、こんな状況下にも関わらず、グルゥは感動を覚えていた。


「ぐすん」


 サリエラは軒先で三角座りをし、涙ぐんでいる。


「私……生まれて初めて男の人に押し倒されてしまいました。責任を取ってくれますか?」


 重いわっ!


 グルゥは心の中で絶叫をしていた。


「もちろん、冗談ですよ……半分。さっきの話の続きですが、テュルグナに向かうのであれば、お父様とお母様の帰りを待った方が良いと思います。きっと、お人好しの二人のことでしょうから、あなたも船に乗せてくれるでしょう」


 半分本気なのか……? と若干薄ら寒いものを感じつつも、グルゥはそうか、と相槌を打つ。


「ありがとう。そしてすまなかったな、さっきはあんな状態になって」


 自分が謝る必要があるのか、もはや何が何だか分からなかったが、僅かながらにサリエラの純情を傷つけた可能性もあるので、一応の程度で謝っておくグルゥ。


「いえ、こちらこそつい手を出してしまって……申し訳なかったです。この村は今、人手不足で困っておりますから、良かったら私が責任を取りましょうか?」


「重いわっ!!」


 グルゥの心の叫びはつい外に漏れ出てしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ