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88.炎と水とおっさん―1

 予想だにしなかった苦戦。

 それはグルゥに、大きな重圧と焦燥感を与えていた。


(まだ、城内に踏み込むことも出来ていないのに、こんなところで……っ!)


 霧の中に消えた、リーヴスとエルゼシュトの影。

 いったい、何処にいるのか検討もつかないまま、グルゥは城門があった方角へと歩を進めた。


 だが、


「くッ」


 再び、ずぼっと地面を踏み抜ける右足。

 既に周辺の地面が、不規則に液状化されているようだった。


 グルゥはすぐさま足を引き抜いたが、このままでは、城門に辿り着くこともままならない。


「分かりましたか? 私は別に、あなたと戦わなくてもいいのですよ。こうしてこのまま、あなたの足止めをしていれば、それで十分なんです。霧と泥の牢から、あなたは外に出ることも敵わない」


「……はったりだな。そんな持久戦に持ち込んで、どちらの体力が持つかは明白のはずだ」


「そちらこそはったりでしょう? サリーメイア姫の奪取はあなたの目的の一つであるはず。こうして時間をかけられるのが、あなたにとって最も嫌な行為であるはずです」


 どこからともなく聞こえてくるリーヴスの声に、グルゥは苛立った声で返答をした。


 確かにこのままでは、サリエラの救出には間に合わないかもしれない。

 だが、痺れを切らして突っ込んだところで、リーヴスの策に嵌まるだけというのは目に見えている。


「だったらここは……力比べで勝負だッ……!!」


 大きく息を吸い、全身の筋肉に力を込めたグルゥ。

 胸の熱球が大きく明滅を繰り返し、放たれる熱によって、徐々に水蒸気の霧が晴れていった。

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