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87.五彩の騎士・蒼とおっさん―1

 いつから変わってしまったのだろうか、とリーヴスは回顧する。




 物心付いた時には両親を失っていたリーヴスは、ジルヴァニア内にある孤児院で育てられていた。

 両親は共に優秀な騎士で、とある戦いの際に名誉の死を遂げたらしい。


 当時、五歳であるリーヴスはなんとなく聞かされていたことを受け入れ、自らの境遇において、特に不平や不満を持つこともなく暮らしていた。

 その、はずだったのだが――


「魔力を行使すると……気分が良い」


 幼い頃より孤児院の書庫にこもりきり。

 本の虫として多くの書物を読み耽っていたリーヴスは、その幼い見た目からは想像も付かないほどの多くの知識を持っていた。


 特に今没頭しているのは、魔導の研究だ。

 リーヴスは書庫にあった魔導書を読破し、その知識を実行することによって、自身に魔導の才能があることに気が付いていたのだ。


「だけどこれは――ぼくだけの研究成果だ」


 孤児院の庭で、手のひらから生み出した水を、蟻の巣に垂らし続けるリーヴス。

 初めは異変に気がついた働き蟻たちが慌てて外に出てくるが、止まらない水の相手はどうすることも出来ない。


 じっくりと染み渡ってゆく水が、次第に、蟻の巣の中を浸食していく。


 いったい、この中はどうなっているのだろう。

 水の中に沈められた生き物達は、どのような末路を辿っているだろうか。


 まるでブラックボックスのような答えの見えない事項に、リーヴスは一人思いを寄せると、仄暗い興奮を覚えていた。

 だが――


「なーんか、根暗なことやってんなぁ」


 その声は頭上から聞こえてきた。

 ハッと見上げた木の上に登っていたのは、赤い髪の少年である。

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