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86.無双とおっさん―6

 そして今――圧倒的な量の軍勢を前に、グルゥは孤軍奮闘していた。


 鉄の矢によって肉が弾け、鋼の剣によって骨が砕ける。

 が、超回復力によって、壊された肉体はすぐに再生され、グルゥは体一つでジルヴァニアの兵達を押し返していた。


「くっ……かくなる上は量で押し潰すのだッ!! 総員突撃、絶対に式典中の城内に立ち入らせるなァッ!!」


 隊長格の男の指示により、五人の兵が一斉にグルゥに襲いかかる。

 そして、グルゥが手間取っている間に、さらに五人、十人と兵士が群がっていった。


 大勢の兵に押し込まれ、グルゥの姿は見えなくなる。

 だが、『サタン』に力勝負を挑むことは――最上級の愚策だと言わざるを得なかった。


「邪魔をするなと――」


 兵士達の山が盛り上がる。

 まさか、と取り巻きの兵達に緊張が走ったが、


「言っただろうがァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」


 次の瞬間、爆発が起こったように兵士達が弾け飛び、中からは全身傷だらけのグルゥが、拳を突き上げた状態で現れた。


「な……っ!?」


 信じられないと、隊長格の男は言葉を失った。


 グルゥの体には、少なく見積もっても五本以上の剣が貫通している。

 常人であれば――いや、普通の魔人であれば、確実に絶命しているほどの大怪我なのだ。


 だがグルゥの胸の“熱球”が赤く光ったかと思うと、剣は飴細工のように溶け出して、傷も見る見るうちに塞がってく。


「も、もう駄目だ……こんな化け物相手、何をやっても……」


 それは自然現象だった。


 グルゥを押し留めていようとしていた前線が、ゆっくりと崩壊していき、いつの間にか、城門までの道を塞ぐ者は誰もいなくなっていた。

 もはや何をしても無駄だと――その場にいた兵達は、全員“分からされた”のだ。

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