表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
825/984

84.巨人とおっさん―6

 が、返って来たのは、角による乱暴な頭突きである。


「去ね。血統を穢した者との和解など、儂は決して認めんぞ」


「それらの憎しみは全て……王子の愛した、コクアの王女の病が治れば解けるのです!! だから私は、霊薬を彼らに渡そうと――」


「ならぬ、絶対にならぬッ!! これ以上下らない問答を続けるというのなら、衛兵に命じ貴様も二度とこの国に戻れないようにしてやるぞッ!!」


 デルガドスの怒号が病室中の物を震わせた。

 分厚い手のひらの中でミルププが暴れ何かを言っているようだが、完全に密閉されているため全く聞こえない。


 グルゥは、ついに――用意してきた言葉を、口にすることにした。


「分かりました。それなら……私が、王になります」


 吼え猛るデルガドスだったが、それを聞いた瞬間に、大きく息を飲み込んだ。


「……本気で、言っておるのか」


「はい。ヌエツトの王は、代々最も力の強いものがなると決まっているはずです」


「笑止千万。手負いの儂を殺し、それで国民が認めるとでも思っておるのか」


「もちろん、そんなことは露ほども思っておりません。……正式に王として認められるためには、ある“儀式”を行う必要があると。それは、王自身がよく知っていることでしょう」


 グルゥの言葉に、デルガドスは大きく目を見開いた。


「まさか、お前――」


「はい。私は巨人ギガースの試練に打ち勝ち……当人から、直接霊薬を持って帰ります。それが、ヌエツトの王が強靭な肉体を得る、強さの秘密なのでしょう? そして、巨人ギガースの試練に打ち勝ったものは王家の一員になると決められている。だから私は……この地に、戻ってきたのです」


 ヌエツトの王になること。


 それが、グルゥが決意した、イルスフィアを統一するためのたった一つの方法だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ