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84.巨人とおっさん―4

「バカヤローッ! クソジジイ、オレ様のことも分からないのか! すっかり耄碌しちまったようだな!」


 怖いもの知らずの口調で、イモムシは真っ向からデルガドスに食って掛かった。

 さすがにこれはまずいと、グルゥの顔面は蒼白になったが、


「まさか、その使い魔の術は……ミルププなのか?」


 意外にも、デルガドスはその正体にすぐ気が付いたのだった。

 てっきりこの場でぶっ飛ばされて半殺しにされると思ったグルゥは、デルガドスが激昂するより先に状況を把握してくれたことに、心底安堵する。


「へ、へんッ。なんだよ、よく分かってんじゃねーか」


「お前の“異世界航海士スフィアセイラー”としての働きぶりは、よく聞いていた。口が悪いが、案内が非常に的確な芋虫がいるとな。……だがお前は、イルスウォードに連れ去られたと聞いていたが。……まさかッ」


 ハッとした様子で、デルガドスはグルゥを睨み付けた。


「貴様も、儂を裏切ったというのか……ッ!!」


 その目の奥に宿る、業火のような憎しみの炎。

 グルゥがヴァングリフと繋がりを持ったことを、瞬時に理解したのだろう。


 腹部の傷が開くのをものともせず、デルガドスはすぐにベッドから起き上がろうとした。

 グルゥは慌てて、デルガドスの元に駆け寄りその動きを制止する。


「お待ちください! 私は確かに王子と接触しましたが、彼と協力関係になったわけではありませんッ!」


「ならば、何故あやつの首をここに持ってこない!? 貴様なら十分分かっていたはずだ、あやつの存在は、この国にとって極めて有害な存在であり、取り除かねばならない癌であると!!」


 ベッドの中にいるというのに、デルガドスに胸倉を掴まれたグルゥは軽々と片手で持ち上げられて、その相変わらずの膂力の強さに驚愕する。

 だが、


「バッキャローッ!!」


 その時、果敢にもちっぽけなイモムシが、自身の何万倍も大きな体をしたデルガドスに体当たりを食らわせた。

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