EX9.おっぱいとおっさん その2―3
意味深な言葉に、グルゥは眉を顰める。
「極秘の情報……?」
「ええ。私、おっぱいスパイなんです。なんちて」
「自分で言うな……。それで、それを私に無償で教えてくれるのか?」
ニフラの下らないセリフに頭を抱えつつ、問いかけるグルゥ。
「どうせお前のことだ、教える代わりに付き合えだの結婚しろだの――」
「いいですよぉ?」
「え? …………い、いま、なんて言った?」
ニフラからの予想外の返答に、グルゥは面食らってしまう。
ハッと顔を上げると、ニフラにお茶らけた様子はなく、いつになく真剣な顔をしていた。
「私達イルスウォードには、常にアガスフィアの情報を察知すべく、向こうに常駐している偵察隊がいるんです。これは、その偵察隊が入手した、ヴラディオに関する情報なんですけどぉ」
耳打ちをするニフラ。
それを聞いて、グルゥの表情は一瞬怪訝な顔つきになったが、すぐにハッと何かに気がついた。
「それじゃあ、まさか――」
「まあ、この情報は……グルゥ様にしか扱えないと思いましてぇ」
そう言って、ニフラは悪戯っぽくウインクをしてみせた。
風呂からあがったグルゥがすぐに取った行動。
それは、キットとミノンを呼び出し、とある“別の目的”のため、動いてもらうことだった。




