EX9.おっぱいとおっさん その2―2
「もー、お茶目さんですねぇ。私が引っ張ってあげますよぉ」
そう言って、ニフラはグルゥを跨ぐように湯船の両端に仁王立ちした。
真下から見上げるニフラの迫力は、グルゥの想像以上のものであった。
「お、お前……! さすがにそれは色々まずいだろっ!?」
「え? えろえろってなんですかぁ? ちゃんと言ってくれないと分からないですよぉ」
「分かってて言ってるだろ!? 大丈夫だ、お前の助けなど借りずとも自力で起き上がれるから――」
グルゥの腕を掴もうとしたところ払い除けられ、ニフラは前のめりにバランスを崩した。
胸から落下するニフラ。
二つの柔らかい膨らみがグルゥの顔面を直撃した。
「はわわ、足が滑りましたぁ!」
「分かっててやってるだろ!? 早く退け、こ、これは、窒息するっ」
グルゥはニフラの真下でバタバタともがく。
結局、はまった湯船から脱出出来たのは、ニフラに散々弄ばれた後のことだった。
「つ、疲れた……」
湯船に腰掛け、ぐったりと肩を落とすグルゥ。
ニフラはその顔を覗き込むようにしながら声を掛ける。
「じゃあ、お背中流しましょうか?」
「いらんわっ!! とっくにそれ以上のことはやっただろう!? というか、何のために来たんだっ!」
カンカンに怒っているグルゥを見て、ニフラはチロッと舌を出した。
「えっとですねぇ。私は王子派なんですけど、グルゥ様の大ファンでもあるので……極秘の情報を持ってきたんですぅ」
人差し指を唇に当てたニフラは、いたずらっぽい笑みを浮かべながら、そう言った。




