83.願いとおっさん―4
まず声をあげたのはヴァングリフだ。
「無理だッ!! あのクソオヤジから、霊薬を奪うなんて……本気で言ってるのか!?」
「奪うなんて、そんなつもりはない。私はただ、話し合いに行くだけだ」
「話し合いに応じるような人物でないことは、君もよく分かっているだろう? 止めた方が良い」
続けて、ネアロからも提案を否定する言葉がかかる。
「それは、誰もがそう思って、話し合いの場を設けたことがないからで――」
グルゥがムキになって言い返そうとした、その時だ。
「私も……行きます」
ミルププの言葉に、誰もが耳を疑って、水を打ったように黙り込んだ。
「私の言葉、なら、ぉじぃちゃんも聞いてくれるかもしれないから――」
「駄目だ。君が行けば、またあの男に幽閉される可能性がある。そんなことは絶対に認められない」
「そうだッ! ミルププ、お前が行くって言うんなら、もちろん俺もついていくぜ」
「そうしたら、またお父さんとお爺ちゃんの喧嘩が始まるでしょ!? 無理に決まってんじゃん!!」
ヴァングリフに対してははっきりと意見を言うミルププ。
なんとなく成長を感じて、グルゥは三人の言い争いを聞いていたが、
「それなら――イモムシでならどうでしょうか?」
それまで事の成り行きを見守っていたミノンが、そこで口を開いた。




