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82.遺恨とおっさん―8

 ヴァングリフも並みの『サタン』より大柄な体格をしているとはいえ、デルガドスの桁外れの巨体には敵わない。

 完全に力負けし、床に押さえつけられる形になったヴァングリフに、デルガドスは容赦なく拳の連打を浴びせていった。


「このッ!! 恥知らずめがッ!! 儂がどれだけの思いでこの国を作り上げてきたのか……分からぬのかッ!!」


 魔獣化した『サタン』が、こうも簡単に押さえつけられ、一方的にやられている。

 それはグルゥにとっても始めて見る光景だった。


 『サタン』対『サタン』の戦いは、より力の強い者が勝つ――実にシンプルな構造だ。


「あ……ぐあっ…………!!」


 初めの方こそデルガドスの打撃を貰う度に呻いていたヴァングリフも、徐々に静かになり、抵抗をしなくなっていく。

 執拗に顔を殴られ、砕けた歯が周囲に飛び散り、血飛沫が放射状に床を汚していた。


「…………クソ、ヤロウ」


 何かを訴えるように手を伸ばしたヴァングリフだったが、最後にその言葉を言い残すと、ぐったりと動かなくなってしまった。


 魔獣化が解け、元の人型に戻っていく。

 だが、怒りが収まらないデルガドスは、大きく振り上げた拳を止めようとしなかった。


「王、それは――」


 その一撃が振り下ろされれば、ヴァングリフの頭部は粉微塵に砕け、間違いなく命を落とすだろう。

 玉座の赤ん坊の泣き声が嫌に耳に残った。


(このままでは――あの赤ん坊の将来は――)


 考えた時、グルゥの体は勝手に動いていた。

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