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82.遺恨とおっさん―3

「どうして、そんな仕打ちをするのですかっ!!」


 玉座の間に駆け込んだグルゥは、すぐさまデルガドスに抗議する。

 城内に連れて行ったヴァングリフは、デルガドスとの面会を果たすことすらなく、そのまま牢に幽閉されたのである。


「当然だろう。あやつは、勝手に城を飛び出して行ったのだ。まずはそれ相応の罰を与えることが道理よ」


 蓄えた白髭を撫でながら、玉座にどっしりと腰掛けたデルガドスは、グルゥに相対した。

 既に長い年月を城で過ごしていたグルゥは、多少のことであればデルガドスに意見を言える立場にはなっていた。


 だが、それはあくまで経理上の助言だ。

 こうして、デルガドスの行動を面と向かって批難したことは無く、グルゥの足は僅かに震えていた。


「しかもあのバカ息子め……外に出ている間に、ガキをこさえて来おった。まったく、どこまでヌエツトの品位を貶めれば気が済むのだか」


 デルガドスがヴァングリフを閉じ込めた理由は、それがもっとも大きいだろう。


 血統については、並々ならぬ拘りを見せるデルガドスだ。

 グルゥが過去に理由を聞いたところ、血筋に寄らない王家だからこそ、種として血統は大事にしなければならないと、言っていたことがある。


 そして、ヴァングリフが連れて来た赤ん坊は、今はデルガドスの膝の上にいた。


「ふ、ふぇぇ……」


 グルゥの怒声に驚いたのか、赤ん坊は小さな声で泣き始めた。


「おー、よしよし。怖くない、怖くないでちゅよー」


 デルガドスはその面構えに合わない、赤ちゃん言葉で赤ん坊をあやし始めた。

 経緯はどうあれ、孫が可愛いという気持ちはデルガドスにもあるのだろう。


 その姿を見て、グルゥはほんの少しだけ安心したのだが。

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