表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
800/984

81.交渉とおっさん―8

「テンザンで我々の刺客が暴走してしまったことは、本当に申し訳なく思っているよ。彼らは、元々は“ネクロマンス”した兵士……屍肉に虫を埋め込んで、コントロールをしていたはずなのだが、不慮の出来事でその通信が出来なくなってしまったんだ」


「何故、過去に大量殺人を犯した者をわざわざ兵士として迎え入れたのだ」


「使えるものは何でも使う主義だからね。確かに彼らの行為は人道的に許されたものではないが、“死人道”なんてものは聞いたことがないだろう? 生身の兵を使うよりよほどクリーンでコストパフォーマンスが良いし、何より、ある種の卓越した戦闘技術は、兵としては非常に私達に貢献してくれたんだ」


「だが、結果として管理に失敗しているじゃないか」


「返す言葉も無いね。まあ、だからこそ彼に、直接アガスフィアに行ってもらったんだ」


 ネアロはそう言って、視線でヴァングリフのことを指し示した。

 グルゥとしては全く納得のいかない答えだったが、もう一つ、ちゃんと確認しておかなければならないことがある。


「では……デルガドスを襲ったことについては、どんな正当な理由があるんだ。お前達の振るった暴力は、決して許されるものではない」


「彼は……しょうがないよね。イルスフィアの統一に際して、最大の障壁となるのはデルガドスくんだったから。会談の場を襲ったのは、ユグドラシズが行動を起こそうとしているの察知して、時間が無かった故の強硬手段だったんだけど、もちろん各国の王に手を出すつもりはなかったよ。ただ、どうしても彼からは、かなりの抵抗を受けてしまって、ね……」


 伏し目がちに答えたネアロに、グルゥはグッと拳を握り締める。

 そして、バンとテーブルを強く叩くと、怒りを込めた視線でネアロを見据えた。


「黙れ……っ!! お前達の中には、ヌエツトに対する、“復讐”の気持ちがあったはずだ――」


 両国の過去の遺恨を、グルゥは知っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ