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81.交渉とおっさん―5

「――っていうことが、あったんだぜ」


 キットとミノンの口から、これまでの経緯をひとしきり聞いて、グルゥはなるほど、と頷いた。

 頷いた、まではいいのだが。


「それで……なんでとっくに、懐柔されてるんだよ!?」


 玉座の間で、コクアの王である“ネアロ・ビルヴァーチェ”と一緒にティータイムを過ごしている姿は、グルゥには全く理解出来ないものだった。


「だって、親父なかなか目を覚まさないだもん。すっかり仲良くなっちゃったよ」


「仲良くなる意味が分からないぞ!? この男は、イルスウォードのトップなんだろう!? こいつらが、どれだけ非道なことをしてきたのか……分かって言ってるのか!?」


 グルゥの言葉にも、キットはうーんと首を傾げるだけである。

 まさか、気を失っている間に既に洗脳されてしまったのかと思ったが、二人の表情には薬を飲まされて呆けている印象はない。


「まあまあ……そう慌てなさるな、“覚醒者”よ。一度落ち着いて、紅茶でも飲んだらどうだ?」


 グルゥの焦りなど意に介していない様子で、ネアロは空いていた椅子を引き、グルゥに茶を勧めた。


「人にこんな枷を嵌めておいて、仲良く茶席を囲めというのか」


「だって、仕方ないだろう? 私達『ベルゼブブ』の血統は、君達『サタン』に比べたらとても非力なんだ。それくらいして、いやむしろ、それだけしても君が私を縊り殺すことなど、造作もないことのはずだよ」


 ネアロの姿は、過去にイルスフィアであった会談などでグルゥも見たことがあった。

 飄々として、掴みどころのない人物だとは聞いていたが。


(いったい、何を考えているんだ。コクアの王よ)


 にっこりと、人畜無害を装った笑みを浮かべている姿は、最も警戒すべき人物であるようにグルゥには思えた。

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