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78.鬼とおっさん・焔―7

 最強の盾。

 その言葉がただの虚飾だったことを表すように、熱光線はいとも簡単にその中央を貫いていく。


「あギゃ……!?」


 何が起きたのか分からない。

 そんな表情をしながら、ハヌ・トゥは潰れた虫のような声をあげた。


 “燃える”という概念を超え、ハヌ・トゥの体は熱光線を受けた箇所から即蒸発していく。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


 『憤怒』が尽きるまで、グルゥは熱光線を吐き続けた。

 夜のテンザンが、まるで真っ昼間のように明るく照らされる。


「な、なんちゅう……漢じゃあ……っ」


 グルゥの『憤怒』の力を目の当たりにし、シュテンは驚愕しつつも、ハヌ・トゥが倒れたことを確認し膝から崩れ落ちた。

 そこに、正気を取り戻したクリクが駆け寄っていく。


「父ちゃん! 父ちゃんっ! ゴメン、本当にゴメン、オイラっ……」


「わ、分かった。後悔は後でいくらでも聞いてやる……だから、おめぇは喋るな……」


「それはこっちのセリフだって!!」


 互いを思いやるオーガの親子。

 切腹を行ったシュテンだが、その一撃は急所を避けていて、大きなダメージを負ったものの命に別状はなさそうである。


 この時は、まだ三人とも気がついていなかった。


 照らされたテンザンの村――その遠方に、巨大な鋼の蜘蛛の化け物が蠢いていることを。

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