77.続・殺人鬼とおっさん―10
「穿てッ!! 『魔弾の射手』ッ!!」
全神経を集中させ、マリモは起死回生の矢を放った。
眩い光のラインにルルリリはすぐに矢の存在に気付いて、八本脚を動かし大きく跳び上がる。
『ギャハハハッ!! 無駄無駄、そんなんじゃ全っ然物足りないよォッ!!』
空中からの、弾幕の一斉掃射。
どうやらルルリリは、光の矢を撃ち落とすつもりのようだった。
確かに、矢の動きは自由自在なれど、物理的に防がれてはルルリリの頭部に到達することも出来ない。
マリモは宵闇の中を猛然とはしる光の矢を、撃ち落とされないよう必死になってコントロールする。
「うっ――」
が、そんなマリモの目の前に、地面を這ってきた蜘蛛型ゴーレムが姿を現した。
一瞬、光の矢の方向がブレるが、
「集中して、マリモッ!!」
カエデの『焔殺剣』が、迫り来る蜘蛛型ゴーレムを払い除ける。
今までだったら考えられなかった、カエデとの共闘。
だがマリモはその感慨に浸るよりも――光の矢をルルリリの頭部にぶち当てることに、今は必死になっていた。
「いっけェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッ!!」
ルルリリの眼前に迫った光の矢。
ついにその一撃が、標的を射抜いたかのように見えたが――
ガション、とルルリリの頭部の真下が開いて、大きな顎が光の矢を噛み砕いた。
「…………えっ」
お返しとばかりに、ルルリリの全砲門がマリモとカエデに向けられる。
眩い光に襲われるのは、今度は二人の方だった。




