77.続・殺人鬼とおっさん―8
ギャハハハと、狂ったようなルルリリの哄笑が響く。
ルルリリの体が、ボキボキと音を立てて変形し、全身の関節が妙な方向に捻じ曲がっていた。
「な、なんだよ、コイツ……っ!?」
「気をつけて、カエデ! ここは一旦、下がりましょうっ!」
ルルリリに気を取られているカエデの手を掴み、マリモは走り出した。
カエデはハッとして振り返ったが、マリモを拒むことはなく、共にルルリリから離れていく。
「遅ェんだよッ!! “モード・アラクネ”、発動ッ!!」
だが、二人の足を止めたのは、異形の姿へと変貌するルルリリだった。
捻じ曲がった関節から黒い骨が飛び出したかと思うと、千切れた皮がボロボロと落ちていく。
剥き出しになる四肢の骨。
それが骨ではなく、何らかの金属だと気付いたのは、月の光を受けて鈍く光ったからだ。
地面に突き刺さるように伸びた、への字型の折りたたみ式の四肢。
それらは真ん中で二つに分かれ、気が付けばルルリリは、八本の脚を持つ鋼の蜘蛛と化していた。
「なんだよ、あれ……っ!?」
変貌――いや、変形を遂げたルルリリの姿を見て、カエデは驚愕と恐怖を隠し切れない。
長く伸びた四肢により、ルルリリの全長は三メートル近くにまで伸び、胴体の下からは二つの機銃が見えていた。
『せっかく、死体から復活したんだからさァ、自分の体で、遊んでみたくなるジャンッ!?』
「カエデ、こっちっ!!」
民家の陰に飛び込むマリモとカエデ。
ルルリリの機銃が火を噴いて、弾丸の雨が民家の壁を崩していく。




