77.続・殺人鬼とおっさん―6
「そうだよ、誰にどう思われたって、関係ない……私は、私のやるべきことをしなくっちゃ」
カエデやグルゥが敵対したとしても――勇者戦争を終わらせ、みんなで元の世界に帰るのだと、そう覚悟を決めたから。
たった一人で戦おうとしたアキトも、同じ気持ちだったのかもしれない。
そう思うと、アキトのやり方には賛同出来なかったとはいえ、不思議と困難に立ち向かう勇気が湧いてきた。
「あのアキトだって、最後まで戦おうとしてたんだ……私だって、逃げるわけにはいかないよ」
だが、そんなマリモの決意を嘲笑うように、ルルリリは楽しくて仕方がない、そんな嘲笑を浮かべている。
「マジかよ、これ……勇者が勇者を背負ってきたってヤツ!? こんなボーナスタイムありえないッ!! 二人まとめて、アタシが美味しく頂き――」
そのセリフの途中だったが。
蜘蛛型ゴーレムを殲滅し、宙を彷徨っていた光の矢。
その一撃が、ルルリリを背中から貫いた。
「あへッ……!?」
「不意打ちだとか、関係ないよ……もう私は、一人でだって戦うんだって決めたから」
うつ伏せに倒れるルルリリ。
脅威の力を持つ天才的テロリストは、いともあっさりと、その身を地に伏せたのだった。
「…………マリ、モ?」
少し雰囲気が変わった様子のマリモを見て、カエデは余所余所しく声を掛ける。
月を背に、屋根の上で立つマリモ。
風が吹いて、髪が流麗に靡いた。




