77.続・殺人鬼とおっさん―4
「な、どこから――」
「ほらほら、ぼーっとしてると爆散しちゃうぞッ!?」
ルルリリの手から撃ち出される、小型の爆弾。
いったい何処から取り出しているのか、何処にそれだけの量の武器を隠していたのか。
止むことのない弾幕に、カエデは逃げることしか出来なかった。
「くっ、視界がっ」
一転しての防戦一方。
辺り一面を覆った煙を吸い込み、カエデはゴホゴホと咳をする。
「ちくしょう、こんな攻撃でっ」
煙が目に染みて、涙が滲んできた。
それでも、足を止めることは出来ない。
動きを止めたら最後、ルルリリの爆弾が身を砕くだろうから――
「くッ!?」
が、足に鋭い痛みを感じて、カエデはその場に派手に転倒した。
いつの間にか、右足のふくらはぎが斬られている。
歩くことに支障は出ない程度の浅い傷だが、動きを鈍らせるには十分だった。
「爆殺なんて、せっかくの実験台をそんな無碍に扱うわけないじゃーん?」
冷たい風が吹いて、煙が徐々に薄くなっていく。
カエデは、そこで気が付いた――嵌められていたのは、自分だったのだと。
「そん、な……!?」
周囲を取り囲んでいるのは、無数の蜘蛛型ゴーレムだった。
八つ目が赤く光って、今にもカエデに襲い掛かろうとしている。
「さーて、まずは手足の腱から、ちょん切っちゃおうかなッ」
左腕を高く掲げたルルリリ。
それを合図に、蜘蛛型ゴーレムは一斉にカエデに飛び掛かった。




