77.続・殺人鬼とおっさん―3
「なにそれ? チョーせこいワザ使っちゃってさぁ。だけどそんなの、当たるとでも思ってるの?」
「当たらないなら……それでいいッ!!」
カエデは矢継ぎ早に、黒き炎を纏わせた石を打ち込んでいく。
それはルルリリの周囲に散らばって、彼女の行動範囲を徐々に狭めていった。
「コレが目的ってワケ?」
「既に私の陣は完成したんだッ!!」
呆れ顔のルルリリを前にして、カエデは地を這わせるように『焔殺剣』を足元で振った。
黒き炎はまるで波動のように地面の上を進んでいき、ルルリリの周囲にばら撒かれた石にぶつかる。
すると、黒き炎は瞬く間に拡散していき、点と点を結ぶようにして、ルルリリを囲み燃え盛り始めた。
「“焔獄陣”ッ!! チートスキルの応用だッ!!」
「へー……そういうことも出来るんだ、アンタのワザって。指向性と、攻撃対象のある程度の選別は出来るみたいね。おもしろーい」
ルルリリはふむふむと頷いて、自分の周りで燃え盛る黒き炎を見つめていた。
炎は徐々に狭まっていき、ルルリリの逃げ場を無くしていく。
「いいジャン、いいジャン……アタシ、俄然アンタに興味出てきちゃった」
「何を悠長なことを……お前はこの場で炎に焼かれて死ぬんだッ!!」
「よーし、アタシの実験台にけってーい! 生かして連れて帰ればいいんだし……改造するな、とは言われてなかったよねぇ」
ルルリリの手の中に、不意に黒い球体が生まれた。
そして、それがばら撒かれた瞬間――連鎖的な爆発が起こって、黒き炎は掻き消されていく。




