77.続・殺人鬼とおっさん―2
「いきなりこっちの世界に飛ばされて最初はビビったけどー、まあそれも縛りプレイで楽しかった的なー」
ルルリリが持っていた無数の蜘蛛型ゴーレムも、全てアガスフィアに転移してから作ったものだった。
それだけの“素材”を、持ち込めていたということだが――
「だから、さ……。そろそろドカーンと、ド派手で楽しいエンディングにしたいってワケ。いい加減、コソコソしてないで出て来てねー?」
ルルリリの呟きは、どうやら独り言ではなく、“その人物”に対して向けられていたものらしい。
「気付いてるならさ……んな回りくどいやり方しないで、さっさと言えってんだよ」
木陰より身を現したのは、敵意を剥き出しにして『焔殺剣』を構えるカエデだった。
既に戦う準備は万端のようだ。
その様子を見て、クスクスとルルリリは笑っている。
「何が可笑しいんだ」
「アレレ……キミって、バカなのかなぁ? アタシたちの目的は、異世界勇者の捕獲だっつーのっ! そこにキミから来てくれるなんて……飛んで火に入るアホ勇者って感じィ?」
「それなら、心配はいらないよ」
右手に『焔殺剣』を、左手に手のひら大の石ころを持ったカエデは、慎重に狙いを定めてそれを“打った”。
「お前は、私がこの場で仕留めるからなッ!!」
石に燃え移った黒い炎が、放物線を描いてルルリリに飛んで行く。
チッと舌打ちをして、ルルリリは横に跳んだ。




