77.続・殺人鬼とおっさん―1
「あーあ、あのクソジジイも牛さんを追っていっちゃったし。ルルリリちゃんつまんなーい」
グルゥが川に流されていった後も、ルルリリはその場でふらふらしていた。
一見すると、特にやることがなく、手持ち無沙汰のように見えるが。
「……うん、そろそろ、だね」
不意に右手で耳元を覆うと、何かを確かめるように何度も頷いた。
「爆弾搭載のゴーレムは所定位置についた……後は頃合を見計らって起爆すれば……この村の人たちは、みーんなみなごろしっ」
そう言って、ルルリリはキャッキャと無邪気な笑みを浮かべる。
恍惚とした表情で、陶酔感に溺れるその姿は、破壊行為に対する愛に満ちている。
――かつてルルリリは、イルスフィア史上最悪のテロリストとして、恐れられていた者だった。
戦や紛争のあるところに彼女の影あり。
戦の指揮官が為すすべきことは、まず彼女を味方に付け大量破壊を依頼することだと言われるほどだ。
だが、ルルリリが与する判断基準は、支払われる報酬でも、得られる地位の大きさでもない。
“いかに大勢の人間を殺すことが出来るか。”
ルルリリにとって、テロ行為というのは自身の発明を試す場でしかない。
天才的な発明力を持て余す彼女にとって、大量殺戮行為は、高得点を狙うゲームのようなものだったのだ。




