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75.賊・強襲とおっさん―7

 地面に付着する、弧を描いた血痕。

 血振りをしたリンメイは、“鬼灯ホオズキ”を刀の鞘にしまった。


「実に、あっけない」


 足元に転がっているのは二つの肉塊。

 首から真っ二つに両断されたハヌ・トゥが、物言わぬ物体となってそこに落ちていた。


「所詮は小細工の扱いに長けているというだけだったな。最強の盾も、使い手の技量が低ければ脆弱な板にしかならないというわけだ」


 どんな攻撃をも防ぐ、ハヌ・トゥの甲羅。

 だが、目に見えぬ“気”の刃を操るリンメイにとって、それはただの子供の玩具でしかなかった。


「だが……この一連の騒動、この男が首謀者というわけはあるまい。貯水湖の堰を破壊したものがいるはずだ……早く、その者を見つけ出さなければ」


 語り口こそ穏やかだったものの、リンメイの背中からは、何人も寄せ付けない殺気が滲み出ていた。

 守るべきもの――それを脅かす輩は、どんな残酷な手を使ってでも排除するという、まさに“鬼”というべき覚悟の殺気だった。


 そして、川の上流に向かおうとリンメイが足を踏み出した瞬間――違和感を感じて、リンメイはハッと立ち止まった。


「なに……? これは……?」


「ふぉっふぉっふぉ。お前さんは少し、己を過信しすぎたようじゃなぁ。いくら“気”の錬度を高めようと、所詮は盲目の剣士――真実の世界は、見えていないというわけじゃ」


 その声は、足元から聞こえてきた。

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