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75.賊・強襲とおっさん―3

 何が起きたのか分からず、マリモはハッとして顔をあげる。

 まさかカエデが、あるいはグルゥが、助けに来てくれたのだろうか。


 そう思ったマリモだったが、そこに居たのは、見知らぬ長髪のオーガ――リンメイだった。


「何をぼうっとしている。早く逃げろ」


 リンメイはマリモに何も問うことなく、ただそれだけを告げた。

 ハヌ・トゥは千切れ飛んで川の中に落ちていった自分の右腕を見て、ふむぅ、と困ったように顎髭を撫でる。


「やれやれ、これは困ったのぅ。こうも良いようにやられては」


「黙って退けば見逃してる――なんて甘いことは言わない。貴様の“気”、明らかに異常だ。この場で始末するしかない」


 “鬼灯ホオズキ”を突きつけたリンメイは、マリモとの間に割って入るように移動した。


「何をしている。早く逃げるんだ」


 苛立った様子で、背中のマリモに話しかけるリンメイ。


 マリモはまだ戸惑っている。

 味方なんて誰もいないと絶望しかけた矢先、突然現れた自らの救世主に。


「ど、どうして……私なんかを、助けるんですか?」


「どうして? お前の“気”は正常だからな。敵ではないと判断したまでだ」


 リンメイの放った言葉はマリモにとって理解出来るものではなかったが、それでも、真っ黒に染まった心の中に、一筋の光が差し込んだような気がした。

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