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74.強襲とおっさん―8

「と、安心するにはまだ早いぞ」


 グルゥの表情が緩んだのを見て、ルキは唇を尖らせた。


「まだ、妾が見た異変を回避出来たかは分からんのじゃ。むしろ、お主らが原因でないと判明した分、他の外的要因がテンザンの中に侵入した可能性が高まったとまで言える」


「そんな簡単に、外からの侵入者を許してしまうのか? 三方は山に囲まれているし、私が入ってきた時も、しっかりと門の管理はされていたようだが」


「うむ。そうそう簡単には侵入など出来ないだろう……内通者さえいなければ」


 内通者、という言葉に、シュテンとリンメイが同時にルキを見た。


「そ、それはどういう意味だぁ、ルキ姫!?」

「我々の中に、裏切り者が居るとでも?」


 矢継ぎ早に飛んで来た質問に、ルキは無言のまま、扇を広げて口元を隠した。


「……妾の“麒麟知キリンジ”は、本来であれば結界のようなものじゃ。テンザンの外で起こることは予見出来ぬし、中で起こる異変は確実に察知できる。リンメイに指示を出していたように、妾は今回の異変を予見してから、常に警戒を怠っていなかったのじゃ。それなのに……未だに異変の未来は消えずに、妾の中に残っておる」


 伏し目がちに語るルキ。

 テンザンに起こる惨劇は、まだこれからの話のようだ。


 重い空気が流れ、誰もが押し黙った――その時だった。


「なんだ? この音は……?」


 先に気が付いたのは、人一倍優れた聴覚を持つリンメイだ。

 地の底が唸るような低い音が、テンザンの集落を覆い尽くすように響き始めていた。

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