表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
725/984

74.強襲とおっさん―1

 リンメイは未だに目の前の光景が信じられなかった。


 何度も何度も“殺気”の刃で斬り裂いたはずのグルゥ。

 常人であれば、既に発狂していてもおかしくないのに、それでもグルゥは、例え数センチずつでも、這ってでも、常に前に進んできた。


 いったい、何がグルゥをそこまで突き動かしているのか。

 その真実は、グルゥに触れられた瞬間に分かった。


「ああ……そういうことか……」


 目の見えないリンメイにとって、触覚は非常に敏感な感覚でもある。

 グルゥに握られた右の足首が、燃え出しそうな程に熱かった。


「お前も、ルキ姫と同じ――」


「すぐに、キットたちの魂を解放するんだ。そうすれば、この足首を握り潰すことはしない」


「……脅しのつもりか? アマツの武士ともあろう者が、そんな言葉一つで屈服するとでも?」


「ああ……そうだな。お前達が、自らの矜持を重んじる誇り高き民族だということは、私も分かっているさ」


 リンメイの言葉は、グルゥの『憤怒』を掻き立てるだけだ。


「ならば私も、お前達に対して本気で向き合うだけだ……!! これ以上、キット達を傷つけるつもりというのなら、塵一つ残さん……ッ!!」


 グルゥの胸の奥に灯る“黒き炎”。

 リンメイは、何かを悟ったように瞼を閉じ、静かにその時を待った。


「ああ……感じるぞ、お前の“気”を……道理で、いくら倒しても向かってくるわけだ……」


 きっとリンメイは、これ以上何を言っても折れるつもりはないだろう。

 それだけ強い心を持った男であることは、散々大殺界の中で向き合ったグルゥにはよく分かっていた。


 やるしかないと、グルゥが覚悟を決めた、その時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ