表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
724/984

+++ある晴れた夏の日―6+++

 大浴場からあがった男組も、大部屋へと戻ってきていた。


「いやー、さっぱりしたな。やっぱり風呂はデカイのが一番……って、お前ら!!」


 坊主頭をタオルでゴシゴシと拭きながら、ゲンロクは他の男連中に注意をする。


「なんだよ、いきなりデケー声出して」


「部屋に戻るなりスマホとかゲームとか! せっかく海に来たのに、インドアすぎるだろ!?」


 ゲンロクに注意されても、アキトはスマートフォンで小説を読み、ユズはポチポチとゲームに精を出していた。

 そのガン無視の姿勢に、シノカミは呆れながらも間を取り持つように声をかける。


「アキトは随分に熱心に読んでるけど、何か面白い作品でもあったの?」


「いーや。最近のなろうなんてクソばっかだぜ。どれもこれもチートやハーレム、異世界転移のワンパターンばっか。ご都合主義が過ぎるっつーの」


「は、はは……そうなんだ」


 思わぬ酷評が返ってきて、シノカミは苦笑を浮かべるしかなかった。

 じゃあ何で読んでるんだよ、とゲンロクからは当然のツッコミが入る。


「別に? 暇つぶしみたいなもんだし。まーでも、この手のなろう系の主人公になってみたい、って欲求があるのかもな。だって世界を自分勝手に動かせたら、サイコーすぎんしょ?」


「うわ、その発言、危険人物だなアキト。ヘンな気、起こすなよ」


 ゲンロクに冗談混じりに言われても、アキトはフンとそっぽを向くだけだった。


「それは、この世界で真っ当に生きられるヤツだけが、言えるセリフだろ」


 口の中で、誰にも聞こえないようにアキトは独りごちる。

 脳裏には、白いビーチでマリモの隣に立つゲンロクの姿が思い起こされていた。


「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


 その時、突然ユズが大きな声を出したので、全員がビックリしてユズの方を見やる。

 ユズは顔面を真っ青にし、今にも泣きそうな声で言った。


「充電、切れちゃったぁ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ