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73.続・異変とおっさん―9

 確かに致命的な一撃を与えたと、手応えを得るリンメイだったが、


「なに……?」


 グルゥの様子がおかしい。

 大殺界の中では、己の“殺気”を具現化し、直接相手の“気”に攻撃出来るのがリンメイの能力だった。


 だが、本来であればバラバラになっているはずのグルゥは、全ての斬撃を受け止めた上で、未だなお、その二本の足で立っている。


「何故だ……? 相当な回数、刀傷を与えたはずだ。お前の精神は、もう正常を保っていられないほどに斬り裂かれているはず……っ!」


「その声……それが、お前の本体か」


 低く、感情を押し殺したようなグルゥの声色に、リンメイはゾッとした。

 勝ちを確信したあまり、姿を闇の中に隠さないままに声を発してしまった。


 無数に分身したリンメイのイメージの内、たった一つが、“殺気”を操る本体だったのだ。


「ク――」


 向かってくるグルゥを前にして、リンメイはとっさに大殺界を解除しようとした。

 だが、それよりも早く、グルゥの右手がリンメイの腕を掴む。


「…………っ!!」


 イメージの腕を握り潰され、リンメイは悲鳴をあげそうになるのを必死で堪えた。

 大殺界の中では“気”と“気”がぶつかり合う、魂の殴り合いなのだ。


 弱みを見せれば“乗っ取られる”と、直感で理解していた。


「驚いた……これ程までに、精神的にタフな男だったとはな」


「伊達にお前の二倍近くは生きてないさ。多くの怒りや悲しみを乗り越えて……私はここに居るんだ……っ!!」


 グルゥの拳が、リンメイの顔面を打ち砕こうと振るわれた。

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