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73.続・異変とおっさん―8

 絶望的だと、グルゥは思った。

 今まで出会った事のない、精神的な攻撃を仕掛けてくる相手。


(いや……一度だけ、同じようなタイプの攻撃を受けたことがあったか)


 ケントラムで合い間見えた、ユズとの戦いを思い出すグルゥ。

 あの時は、ミルププの活躍によってユズが作り出すフィールドから逃れることが出来た。


 だが、今は自分以外の仲間は全て倒されていて、誰の助力も期待出来ない状態だ。

 どうやってこの術中から抜け出すか、それを考えている間に、グルゥは何人ものリンメイのイメージに囲まれていた。


「く、ぐあっ!」


 四方八方から止むことなく振るわれる斬撃の雨に、グルゥは傷つき、徐々に力を失っていった。

 いくらイメージと言えど、今、このリンメイが作り出した“大殺界”というフィールドの中では、一撃一撃が確かな痛みを持ったダメージである。


「うぅ……っ」


 もはや立つこともままならず、闇の中、膝をついたグルゥは自身の敗北を悟った。


(だ、駄目だ。あまりにも強すぎる。こんなの、破りようがない)


 絶対無敵のフィールドの中で行われる、一方的な暴力。

 絶望の淵に立たされたグルゥに、四方から同時に刀による斬撃が振るわれた。


(負けるのか、私は――)


 グルゥの頭の中に、自分を叱咤するキットの顔がちらついた。

 こんなところで、リンメイを相手に負けたとなれば、キットは絶対に許さないだろう。


 そしてそんなキットや、ミノン、ブランと、次々と仲間を傷つけていったリンメイ。

 このままやられっぱなしでいるのは、あまりにも、男として父として、情けない気がした。


「そうだ……痛いのなんて、もう慣れっこじゃないか……っ!!」


 生気を振り絞り立ち上がるグルゥだったが、十文字の剣閃は、容赦なくグルゥをズタズタに引き裂いた。

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