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8.決着とおっさん―2

 先程までの傲慢な態度とは違い、急に弱々しくなったアキトの姿に、グルゥは困惑を隠しきれなかった。


「貴様の生い立ちに、何があったのかは知らないが……だからといって、貴様の罪は許されるものではない……ッ!!」


「ああそうかよッ!! じゃあ殺せよッ!! それがお前の望みなんだろ!? だったら余計な問答なんていらねぇ、俺を殺せばいいだろッ!! それでお前の気が晴れるなら……さぁ!!」


 もはや論理など通用する相手ではなく、ただの子供の逆ギレである。

 こんなヤツに妻は殺されたのかと思うと、グルゥの胸中も遣る瀬無さでいっぱいになっていった。


「反省の言葉は……ないのだな……」


「なんだよ、それ。それを言えば俺は生かされるのか? 俺の罪は軽くなるのか? だったらいくらでも言ってやるよッ!? だけどどのみち、俺は殺されるんだろう? それなら、お前の自己満足に付き合ってやる気はねぇ!!」


「自己満足……だと……!?」


 グルゥのこめかみの血管がヒクヒクと動く。

 いくら死の間際に立たされ錯乱しているとはいえ、その言葉は聞き流せるものではなかった。


「まだ、自分のやったことが分かってないのか、貴様は……ッ!!」


 港の縁でうずくまっていたアキトの胸倉を掴み、グルゥは軽々とその体を持ち上げた。


「俺は勇者なんだッ!! 俺のやってることは正しくて、お前は悪の魔王なんだ!! そうだろう!?」


「その腐った考え……死なねば直らぬというのなら、私は何度でも貴様を殺してやるッ!!」


 そう言って、グルゥがアキトを海の中に突き落とそうとした――その瞬間である。


「待ちなさいっ!!」


 その女の声は、倉庫の方から聞こえてきた。

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