表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
719/984

73.続・異変とおっさん―6

 そのため――怒りに我を忘れたグルゥは、気付いていなかったのだ。


 薄暗い、灯りのない民家の中。

 既にそこから、リンメイの術中に嵌まっていたことに。


「がっ!?」


 右の足に鋭い痛みを感じ、思わずグルゥは呻き声をあげた。

 見れば、足首が深く斬られて抉れており、今にも千切れそうな皮一枚の状態になっている。


「なッ…………!?」


 まったく見えなかった、視界の外からの攻撃に、グルゥは今まで感じたことがないような戦慄を覚えた。

 何をされたのか、ハッとしてリンメイの方に向き直るが、


「な、んだと……!?」


 既にそこにはリンメイの姿は無い――というより、倒れていたはずの三人の姿も無かった。

 気が付けばグルゥは誰も居ない暗黒空間の中に一人立ち尽くし、前後左右も分からない状態になっている。


「貴様、何をしたッ! 幻覚か、これはッ!?」


『幻覚ではない……今、確かに、私の“殺気”がお前の“気”を捉え、大殺界に引きずり込んだのだ。だが、私の“殺気”を受けてまだ正気を保っていられるとは、侮れん男だな』


 どこからともなく反響して聞こえている、リンメイのくぐもった声。

 グルゥの記憶の中で、宴の際にシュテンから聞かされた話がハッと蘇ってくる。


「そういえば、シュテンから聞いたぞ。テンザンには、若くして最強の座についた武士がいると。確か名をリンメイと言い、無刀の型という特殊な戦い方をすると聞いた」


『……やれやれ、棟梁には困ったものだな。私の“気”は、中身を知っている者には効果が半減するというのに』


 ため息混じり話すリンメイ。

 やはり噂に聞いていた男かと、グルゥは警戒して身構えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ