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72.異変とおっさん―6

「分かり、ました。グルゥさんが、そう思ってるなら」


「待て、マリモっ! もう少し、ちゃんと話を――」


 踵を返し、マリモはその場から走り去っていく。

 その振り向き様、マリモの目から光るものが落ちたのを、グルゥは見た。


「マリモっ!!」


 言葉が足りず、傷つけてしまったかもしれない。

 そう思ったグルゥは、すぐさまその後を追おうとしたが、


「待てぃッ!!」


 それを阻むように、突如もの凄い風圧が飛んできて、グルゥの足を止めた。

 目の前の深く抉れた地面を見て、グルゥはそれがただの風ではなく、“剣圧”による斬撃の跡であることを知る。


「何を……するんだ?」


 その異常な姿を見て、グルゥは思わず息を飲んだ。


 斬撃を繰り出したのは、カエデではない。

 鼻息を荒くし、普段から赤い顔をさらに紅潮させた――見るからに激昂している、シュテンである。


「俺ぁが馬鹿だった……同じ角付きだと思って親しくした、俺ぁが馬鹿だったんじゃッ!!」


 全身がビリビリと震えるような怒声を正面から受け、グルゥは思わず後退りをする。


 シュテンが自分に対して怒っていることは、これ以上ないくらいに明白だった。

 また、何か異常な事態が起きているのだということは――鬼装束を血みどろにした、シュテンの異様な出で立ちから分かる。


「ま、待て、いったい何があったんだ? 私にはまず、何でお前が怒っているのか」


「“何があった”、だとォ……? 俺ぁの息子をズタズタに斬りつけて、そんなことよう言えたもんだなァッ!!」


 シュテンの告げた事実に、グルゥは衝撃を受けて固まった。

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