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72.異変とおっさん―5

 カエデが吐露した憎悪の感情を、マリモは大きく首を振って否定した。


「ち、違うっ! 私は、そんな女じゃないっ!!」


 その動揺の仕方は、本心からカエデの言葉に戸惑っているようで、グルゥはなんと声を掛ければいいのか分からなくなる。


(だが、直接私の心に飛び込んできたカエデの記憶。あれは紛れもない真実)


 どちらの言葉を信じればいいのか分からず、グルゥはただ睨み合う二人を見ていることしか出来ない。


 マリモから聞かされていたカエデの印象は、貧乏性のところはあれど、明るく元気なムードメーカーのような存在だった。

 そんなカエデが、二つの過酷な事態に遭遇したことによって、性格が歪んでしまったというのはまだ分かるが――


(本当に、マリモがカエデのことを貶めたというのなら、あんなに楽しそうにカエデのことを紹介するだろうか?)


 マリモから聞かされていた、ある夏の晴れた日の話。

 異世界に転移する直前までの思い出を、マリモは本当に楽しそうに話していたから、信じて良いのか分からなくなる。


「グルゥさんは……私を信じてくれますよね?」


「こんな女の言うこと信用しちゃ駄目だ、グルゥさん! 魔人を毛嫌いする私の言葉なんか信じちゃくれないだろうけど……マリモのことを信用すれば、もっともっと酷い目に遭うのは目に見えてるぞ!」


 潤んだ瞳で見つめてくるマリモと、半ば自棄になって吐き捨てるように言ったカエデ。

 どちらの言葉を信じれば良いのか、グルゥは散々迷った結果――


「……即答しないってことは、疑っているんですね。私のこと」


 グルゥが答えを出す前に、マリモは冷たい声でそう言った。

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