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72.異変とおっさん―4

「やめて――」


 懇願するように、カエデに手を伸ばしたマリモ。

 しかし、マリモを敵視するカエデに、その言葉が届くことはなかった。


「私は見たんだ。お前が夜、派手な格好で不良の連中とつるんでたのを。あれは何をしていたんだ? 大方、ヘンなクスリでもやってたんだろ」


「ひ、人聞きの悪いこと言わないでよっ! 彼らとは友達で、ゲーセンとかで遊んでただけだってば!」 


 マリモはそう弁解したものの、明らかに動揺している様子である。

 そしてカエデは、言葉のナイフを振りかざすかのように――仰々しい言い方で、その事実を告げた。


「じゃあ、どうして……その不良連中は、あの臨海学校の夜、私を陵辱したんだ?」


 カエデの言葉を聞いて、グルゥは苦しそうに目をつぶる。

 そう、“黒き炎”の吸収と共に、グルゥの中に流れ込んできたもう一つのカエデの記憶。


 それは、薄暗く埃くさい建物の中で、裸にされたカエデが複数人の男に押さえつけられているという――悲しみと悔しさと、憎悪がこれでもかと詰め込まれた、痛ましい記憶だった。


「え…………うそ……?」


 マリモは驚いた様子で、固まって動かなくなる。

 果たして、マリモが何と言うのか、グルゥは黙ってその成り行きを眺めていた。


「知らない。……私、そんなこと……知らない……っ!!」


「知らなければ許されるっていうのかよ。どうせ、お前が指図して私を襲わせたんだろ? そうでなくても、ヤツらとつるんでたお前が何かの原因になってることは、明白じゃないか。だから、私は嫌いなんだ……虫も殺さないような清楚な女のフリをして、本当はドス黒い心を持った、お前のことが……ッ!!」

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