7.対決とおっさん―10
「グアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
剛毛に覆われ、筋肉で二倍近くにまで膨れ上がる二の腕。
パンチですらない、ただ力任せに薙ぎ払った腕が命中したアキトは、紙くずのような勢いで遥か後方に吹き飛んでいった。
「がぁッ!?」
レンガで出来た倉庫の壁にぶち当たり、アキトは吐血する。
その体はレンガにめり込み、食い込んだ体はすぐには動かせなさそうだった。
「ん……な……ッ! マジ、かよ……っ!!」
呆然とするアキト。
己が一撃を食らったことを、まだ信じられないといった様子である。
グルゥは、磔になった状態のアキトに一歩ずつ近付いていった。
「や……めろ……! 来るんじゃ……ねぇ……!!」
「そうやって命乞いをした者を……貴様は容赦なく斬り捨ててきたのだろう?」
全身が黒い毛に覆われ、筋肉が膨張したものの、その体躯は服が千切れるまでには達していなかった。
“活力吸収”により奪われた力は完全には戻っておらず、半人半獣の状態で変化が止まったのである。
不幸中の幸いではあるが、理性と力を両立させた今のグルゥには、アキトを縊り殺すことなど造作もないように思えた。
「チートスペル“完全回復”……っ!」
アキトは慌てて癒しの力を使ったが、多少の効果はあったものの、その傷は完治しない。
「くっそ……ここに来てMP切れかよッ……!!」
どうやら、アキトが使える術には限度があったらしい。
レンガに埋もれ動けないアキトの前で、グルゥは腕組みをして立ち止まった。




