71.続々・鬼とおっさん―1
『妾と共にジルヴァニア王家を根絶やしにする覚悟があるというのなら、ここに残るが良い。そうでないなら……明日には、テンザンから出て行くのじゃ』
ルキから言い渡された言葉が、まるで死刑宣告のようにグルゥの頭の中で渦巻いていた。
サリエラを殺すなんてことは、グルゥにとって考えられなかった。
事と次第によっては、アマツ公国とは協力関係どころか敵対関係になるだろう。
「敵の敵の敵は……結局のところ、敵ということか」
だが、前もってその考えを告げるあたり、確かにルキは信用の出来る鬼なのだとは思う。
共に戦おうと言って散々利用し、最後にサリエラとブランを殺してしまうのが、ルキにとって最も効率の良いプランなのだから。
(おまけに、今晩はカエデの凶行も止めなければいけない。キットとブランの状態も心配だし、ああもう、いったい何から手をつければいいんだ)
混乱の最中のグルゥは、やっとの思いで古民家まで帰ったが――そこで待ち受けていたのは、思いも寄らない光景だった。
「親父、お帰りー」
「あ、ども……お邪魔してます」
まったく知らない鬼の少年とちゃぶ台を囲み、煎餅と茶を啜っているキット。
「いや誰だっ!?」
「あ、コイツはクリクって言ってー、オレのことをこそこそ嗅ぎ回ってたんだけど、話してみたら意外と良いヤツだったんだよ」
「あ、あの……キットさんとは仲良くさせてもらってます」
どういう状況なのかさっぱり分からず、グルゥはますます混乱の極地に追い込まれるのだった。




