表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
687/984

70.続・鬼とおっさん―7

「遅い」


 一方で、キットはイライラしながら、民家の軒先でグルゥを待っていた。


「父上は何処へ行ったのでしょう?」


「しーらーなーいっ! オレに聞くなってもう!」


 旅人が来ることが少ないテンザンには宿屋が無く、グルゥらは一軒の古民家を貸し与えられていた。


 始めはキットとミノン、そしてブランの三人で待っていたが、集落の様子が見たいと言って出て行ったミノンはかれこれ一時間以上戻らず、キットはブランと二人きりでグルゥの帰りを待っていた。


(言っちゃ悪いけど……コイツとずっと二人っきりってのはツラいぞ)


 幼児退行を起こしたブランは、グルゥが面倒を見ることにより暴れることはなくなったものの、すっかりグルゥに懐いてその話ばかりしていた。


「父上は先祖より代々受け継がれてきたこの地を護っている、素晴らしい方なのです」


 おまけに、その記憶はヴラディオのものと混ざっている。


「するとなんだ? お前にとって親父はこの国の王様なのか?」


「何を言っているのです? 当たり前のことでしょう? あなたも、父上に仕えられることを誇りに思うのです」


 話はまったく噛み合わず、キットは頭を抱えて地団駄を踏んだ。


「確かに、親父は凄い人だけどっ!」


「でしょう? 私も大きくなったら、父上のように強い王となりこの国を守るのです」


 さらに言うと、時折ブランが見せるヴラディオへの尊敬の眼差しが、キットにとっても心苦しいものとなっていた。


(そうか、コイツも、昔は親父のことが本当に好きだったんだな)


 それならいっそ、もう二度と正気に戻らない方が幸せなのでは――

 キットは一瞬そう思ったが、将来的にグルゥと一緒になった時にブランまでくっついてきそうな気がして、慌てて首を左右に振った。


(やっぱり、元に戻ってもらわなくては!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ