7.対決とおっさん―8
アキトの言葉を聞いて、グルゥには衝撃がはしっていた。
「な、何故だ。何故、貴様が、それを……」
「こっちにはググれる人間がいるからさ、大抵の情報は入ってくるんだよ。要は生きた攻略本がついてるってわけだ。こっちは何度も『イルスフィア』に行ってんのに、ボスの情報を調べてないわけがねーだろ?」
アキトの言葉は何一つ理解できなかったが、何かしらの手段で情報を得ていたことは確かなようである。
「七つの魔神の血統、そのうちの一つが『憤怒』を司る『サタン』なんだろ? そして『サタン』の血統の特徴は黒い角ときている。そこまで分かってれば、『憤怒』の力を吸収されるのが弱点ってことは、目に見えてんだよ」
アキトが乱暴に鎖を引っ張ると、首輪が絞まり、グルゥは仕方なく這って前に進んだ。
「ギャハハッ、いい眺めだぜおっさん、最高だッ!! このまま一緒に散歩でもするか?」
「ふざ……けるな……ッ!!」
「はァ? だから、口の利き方に気をつけろって言ってんだ。お前が喋っていいのは、わんわん、だけだろ」
再び、鎖を通じてグルゥの体から力が吸われていった。
「ぐあああああぁぁぁぁぁ……」
一方的な搾取に対し、グルゥは何の抵抗もすることが出来ない。
四つん這いの姿勢を保つことすら出来ず、ついには冷たい石畳の上に倒れ伏してしまった。
「ホラホラ、さっさと起きねェと首が絞まっちまうぞッ!? 助かりてぇならよ、わんわんって鳴いてみろよ、オラァッ!!」




