表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
670/984

69.鬼とおっさん―2

『あなたに、私の知る異世界勇者の全てを伝えます。だから、私を信じて付いて来てください』


 ワラキユ平野から去ろうとするグルゥの前に、マリモは現れそう告げた。


 マリモの目は真摯で、嘘をついている雰囲気は無かったが、果たしてアキトの元仲間を信用していいのか。

 そもそも、何故死んだはずのマリモが生きているのか、不安な点を数えれば枚挙に暇がない。


 それでも、グルゥがマリモに同行することを決めたのは、その隣にいる少女の言葉だった。


『大丈夫。マリモも、今は私と一緒に行動してるだけだからさ。私はカエデ、異世界勇者の一人だ』


 そう言った少女は、マリモと比べると幼い顔立ちで、まだ十代前半の姿に見える。

 だがその目は、何かを悟ったようにくすんでいて、話してみると見た目以上に大人びた娘であることが分かった。


『それに、そんなに怪我人を抱えて、どこに行くつもりなんだよ。私が世話になってるアマツ公国は、これ以上、ジルヴァニア王国の横暴を看過しない方向で動いている。同じ敵を持つもの同士だ、協力関係にはなれるはずだぜ?』


 カエデの言う通り、今は怪我人の治療を優先したいところではあった。


 特にブランは、今にも命を落としかねない瀕死の重傷を負っている。

 とすれば、罠でない限り、カエデの提案を受けない理由はない。


『分かった、君の言葉を信用しよう。それに、マリモも、何があったのか私にちゃんと教えてくれるか?』


 グルゥの言葉に、マリモは少しだけ嬉しそうな笑顔を浮かべて、上目遣いにコクンと頷いた。


 元々マリモは、アキトの暴虐ぶりに嫌気が差していたような節もある。

 信じることはまだ出来ないが、一度話を聞いてみても良いだろうと、グルゥはそう考えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ