68.白き炎とおっさん―7
ついにユグドラシズを倒したグルゥは――内心、ドン引きしていた。
(えええええええええええええええええ!? 殴っただけで、こんなことになるの!?)
あまりにもグロい死に方をしたユグドラシズを見て、グルゥは頭がくらくらするのを感じる。
ある意味、散々殴られた以上の衝撃で、“白き炎”の力も使い果たしたグルゥはその場に膝をつくのだった。
「まさか、これで終わりだと……思ってないだろうな?」
が、その怜悧な声を聞いて、グルゥはハッと顔をあげた。
片腕のヴラディオは敵意を剥き出しにしており、まだグルゥと戦うつもりのようだ。
しかし、さすがにこれ以上の力は出せそうにないと、グルゥの背中に冷や汗が流れる。
「もちろんだ。お前を倒して、サリエラを連れて帰らなければならないからな」
だがグルゥは、そんな気持ちを見抜かれないよう、精一杯の虚勢で強がった。
一瞬でも弱みを見せたら最後、ヴラディオはそこに付け込み、何もかもを奪おうとするだろうから。
「それでこそだ。良いかサリーメイア、例え仇敵が手負いの状態であれど、決して狩りの手を抜くことは許されない。それが“王”というものだ。よく見ておけ」
魔力の弱まったサリエラを後ろに下げ、ヴラディオはグルゥに対峙する。
やはり戦うしかないようだと、グルゥは満身創痍の体に鞭を打ってヴラディオに向き合った。
だが、
「ぐう……っ!?」
強い目眩に、立っているだけでやっとの状態である。
その隙を逃すまいと、ヴラディオはすかさずマントをたなびかせ、グルゥに襲い掛かった。
――その刹那、一筋の閃光が、二人の間を貫通していく。
「…………ふむ。これはまた、意外な客人が来たようだな」
遥か遠方よりの狙撃。
その光条の射手を見て、グルゥは思わず自分の目を疑った。
「彼女は、確か……マリモ……っ!?」




