7.対決とおっさん―6
「うわ、すげ……全身の骨がバラバラなんじゃねーの?」
アキトはそれを、他人事のように眺めながらゆっくりと近付いてきた。
立ち上がろうとするグルゥだが、膝に力が入らず、再び込み上げてきた血の塊を吐瀉する。
「ぐああぁぁ……っ! ぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!」
『怒り』で声が出た。
それは『憤怒』ではなく、不甲斐ない自分に対する『怒り』だ。
「ここまで来て……負けるのか、私は……っ!!」
アキトの言った通り、肋骨や胸骨など体の前面の骨が砕け散り、多数の内臓に突き刺さっているようなダメージがあった。
呼吸をする度に込み上げてくる血。
この状態では、まともに戦うことも出来ないだろう。
グルゥはついに決意する。
それは、『サタン』の血統の力を使うという決意だ。
「随分と苦しそうだな。今、楽にしてやるよ」
アキトは、グルゥがこれ以上戦えない状態だと判断したのだろう。
至近距離まで近付くと、もう一度グルゥの体に触れようとする。
今しかないと――グルゥが全身で『憤怒』の感情を爆発させようとした、その時だ。
「チートスペル“戒めの枷”」
突如アキトの手から生みだれたのは、青白く光る鎖と輪っか。
その輪はグルゥの頭をくぐって、太い首にしっかりと絡みついた。




