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67.口づけとおっさん―7

「『サタン』の血統だったのか!? 貴様……!!」


「いや違う、『マモン』の獣耳だって、あれは!?」


 同時に指摘するグルゥとキット。

 ユグドラシズはぐふふと、不気味な笑い声をあげている。


「私の正体など、今はどうでもいいだろう?」


 その目は墨で塗り潰されたように真っ黒で、何の感情も読み取れない。

 スキンヘッドの頭を左右に振ると、その肩からはバキボキと骨の鳴る音がした。


「今、もっとも大事なのは……そこで拗ねているお姫様を、どうするかではないのかな?」


 ユグドラシズの指摘を受け、グルゥはギリリと歯を食いしばった。


「ああ……悔しいが、その通りだろうな……っ!」


 “魔封じの杖”の束縛から抜け出したグルゥの体には、徐々に力が戻りつつあった。

 が、依然として両手両足は、十字架に杭で張り付けられたままだ。


「待ってろ親父、今オレが引き抜いて――」


「その必要は……ないっ!!」


 自らの腕力と膂力のみで、杭ごと手足を引っぺがすグルゥ。

 激痛がはしったが――この程度の痛み、キットとサリエラのことを思えば大した問題ではなかった。


「帰って来い、サリエラ。お前は、そんな目をするような子じゃなかったはずだ」


 ボロボロの体に無理をさせ、なんとか両の足で祭壇の上に立ったグルゥ。

 サリエラの放った冷気によって吹き荒ぶ風が、容赦なくグルゥの体力を奪う。


 対峙した裸のサリエラは、冷たい風に吹かれながら、もの悲しげな目でグルゥを見つめていた。

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