65.続・覚醒とおっさん―8
「なんだよ。まだオレを止めようとするのか?」
「そうじゃないっ。……本当に、グルゥさんもキットも、バカなんだ。人の話を聞かないで、飛び出していくから」
「……はぁ? それってどういう――」
「ボクはヴラディオの正体を知っている。……いや、こんなこと、ジルヴァニア王国で暮らしていた人間なら、誰でも知ってることなんだけど」
正体、というミノンの言葉に、キットの耳がピクリと反応する。
「多分。グルゥさんの戦い方を見るに、ヴラディオのことを知らないで突っ込んでいったんじゃないかな。……ああ、もう、だから人の話を聞かないヤツって嫌いなんだ」
「ま、待てよ。その正体っていうのが、ヴラディオとの戦い方に関係するってのか? だったら、早くオレにも教えてくれっ!」
「分かってるって……だから、こうして止めたんだろ」
ミノンは一つ深呼吸をしてから、その事実を告げることにした。
「いいか。ジルヴァニア国王ヴラディオは、人間じゃあないんだ」
「え……人間じゃない? 見た目は、完全に人間だけど……それじゃあ、あいつの種族ってのは……!?」
「ヴラディオは、人間よりも遥かに強いパワーを持っている。その種族は――」
その単語に辿り着こうとした、その時だった。
「見ぃつけた」
不意に、幌の入り口の布がバッと開かれる。
そこには、青い長髪を一本にまとめた、眼鏡の男が一人。
「お前は――」
「あの魔人が出て来た辺りを見に来てみれば、やはり、お仲間がいたようですね」
リーヴスの右手から放たれた激流が、二人を幌の壁に叩き付けた。




