65.続・覚醒とおっさん―2
「………………ほ、う?」
その光景を一言で表現するなら、血のシャワーだ。
頚動脈を斬り裂いたブランの一撃。
首を傾けたヴラディオは、ゆっくりと祭壇の上に倒れ伏していく。
だが、ブランは“それ”すらも許そうとしなかった。
「“白星結界斬”ッ!!」
結界を張る力の応用で、ブランは結界を“横”ではなく“縦”に張ることにより、ヴラディオの体を真っ二つに斬ろうとしたのだ。
最強の盾が、最強の矛となる。
結界による斬撃は、ヴラディオの左腕と左脚を斬り落とした。
が――
「外した……ッ!?」
ブランの狙いでは、頭のてっぺんから股座まで、完璧にヴラディオの体を斬り裂くはずだったのだ。
つまりこれは、ヴラディオの意思により狙いを外された、と言っても良い事態なのである。
そしてヴラディオは、一見すると無様に祭壇に口付けをしたように見えたが――
「我を殺し切れなかったようだな。貴様の負けだ、“愚鈍”よ」
その姿は、ヴラディオ自身の“影”の中に溶け込んでいった。
ブランの表情が戦慄に変わる。
姿を消したヴラディオ、何処から現れるかと、周囲を警戒するブランだが。
「我が力の源は、貴様自身が一番良く知っているだろう?」
耳元から聞こえてきた声――直後、ブランは、がはッと夥しい量の血を吐いた。
「あぁ…………ここ、ま、で、か…………っ」
ブランの腹からは、鎧を貫通して一本の腕が生えていた。
ブランの“影”の中から姿を現したヴラディオによる、背後からの一撃だった。




